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Name:毎日がエイプリルフール!
管理人:セミ URL:http://waraiya.blog.shinobi.jp/ フリーリンクですお気軽に。 報告も必要ないです。 ※BLとかパラレルとかはたまたイヤンなものとかあるんで図書館で閲覧とか公式見た後にすぐ飛ぶとかオンラインブクマとかは遠慮していただきたい…!あとBLとか腐ってないとことかからリンク貼る時はBLあるよとか明記してあげてください常識! (ゴミ箱代わりにしてたから必要ないかと思ったけど手風呂からリンクつなげちゃったから一応……)
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Tegaki_blog
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「寂しいよ」 勝手に寝転んだベッドの中から快斗が訴えかけてきた。ちょうど本の中の事件が一段落したところで、あとは探偵が謎を解くだけというあたりだったから俺は顔を上げてやった。そういえばいつのまにか部屋まであがりこんでいた気がする。家に入っていたのはわかっていたが、侵入者が誰かとわかった時点で気を張るのを止めたのでいつ部屋に入ってきたのかは知らない。家に入り込んですぐにこの部屋に訪れたのなら、ゆうに1,2時間は経っているだろう。 「死んでしまうかもしれない」 瞳は俺をとらえていないが言葉ばかりは切実だ。死んでしまうかもしれない。声だけ聞けば思わず止めたくなる程には苦しげな。 「す、好きなんだよ?」 一瞬言葉が止まった。噛んだ、呼吸の場所を間違えた、というような感じではなく、何を言うべきか迷ったようなどもりかただ。どもったとも言えないかもしれない。 「切ないんだ」 にしてもこの声はいけない。だんだんぼんやりとした目も憂いを帯びているように見えてきた。馬鹿らしいことだがそれでもその呆けた顔は拗ねているようにも見えてくる。声の効果は絶大だ。ポツリ、と、落とすように呟くものなので。 ――寂しい。死んでしまうかもしれない。好きだ。切ない。 相手しないのなんていつものことで、勝手に入ってくるそっちが悪いのに、何故だか俺が責められているような気になってくる言葉が選ばれている。 「素知らぬふりしないでよ……あ、」 言い終わったところでようやく俺に気づいたらしい快斗がパチリと大きく瞬きした。本当に今まで俺が間近で見ていることを知覚していなかったらしい。そう、俺が間近で見ているのを。 「新一」 「はいアウト。し、二回目」 「え」 何をやっているのか。 「気づいた? さしすせそ作文」 俺が応えないでいるとどうやら拗ねたらしくベッドの上をゴロゴロと転がっている。子供じゃあるまいし、と思ってから、そういやコドモかと思い出した。こういう顔ばかり見ていると忘れかけてしまう夜の顔。いっそあちらの方が大人じゃないかと突っ込みたくなってしまう。 「母さんが言ってたんだよねえ、自分の気持ちがわからなくなったらさしすせそ作文してみなさいって」 聞いてもないのにしゃべり出す。いつもの快斗だ。俺は少し安心して印字された文字を読み始める。 「俺、寂しかったんだなあ」 思わず顔を上げてしまった。そうすればニッコリ笑った快斗と目が合って、頁をめくりかけた手が途中で止まった。指から離れた頁がパラパラと捲れていく。 「これから相手して欲しい時はさしすせそ作文することにする」 「……勝手にしてろ」 言いながらさっき見失った頁を探す自分がちょっと馬鹿っぽい。縋ろうとして足蹴にされた快斗に比べれば、まだマシな方だとは思うのだけれど。 PR 2009/02/18(Wed) 06:36:00
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