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妄想散文置き場、時々日記。小説リストは左からどうぞ。(R)は18歳以下は見ちゃ駄目よ☆です。
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2024/11/23(Sat) 23:33:24

 (残酷な人だ。)

 僕の呟いた言葉――上手い事呟けたかどうかは定かでは無い――をどう受取ったのか、それとも受取りさえしなかったのか、彼はぼんやりと空を見上げたまま何の反応も返さなかった。部室は冷たく冷やされていて、二人きりの体温では空気が温まってくれる筈も無い。寒さがじわりじわりと下の方から侵食してきていて、僕は微かに体の芯を震わせた。
 椅子の背にかけた体重を僅かに移動させたのか、ギシリとパイプ椅子が軋んだ。静かな部室にはその小さな音すら大きく響く。僕は彼を見た。彼は僕を見ていない。
 ――僅かながら語弊があったことを侘びよう。僕は彼を見たのではない。彼を見ていたのだ。見続けていた。そして彼は僕を見て居ない。ずっと。
 そのことに僕が気付いたのはほんの十分程前の事で、漸く先程、彼はずうっと前からそのことに気付いていたのだと、気付いた。僕の愚鈍な神経を恨み、そして感謝した。
 嗚呼、冷た過ぎる水が部室を埋め尽くしているようだった。水は、始めは温かく存在していたような気がする。彼の視線が水を冷やしているのだ。その所為で僕は身動き一つできず、言葉一つ発することすらできない。彼は悠々と椅子に腰掛け、水の温度を下げて続けている。
 僕はこのまま凍死してしまうのだろう。彼の冷たさに冷やされ続けて、水の中で水死体にすらなれずに、ただ笑顔を保ち続けながら、姿勢を良くしたまま、体の中心を冷やされて死んでしまうのだろう。
 その硬そうな唇すら奪えないまま。

 溺死ならば人工呼吸でもしてもえるのかもしれないが、僕は愛に溺れる前に凍死してしまう予定なので、死んでもまるで生きているかのようにそこらに放っておかれっぱなしになるのだろう。













is http://kratzer.fem.jp/is/
Refrain「さよなら世界あなたはいつも氷のようで」

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2007/10/10(Wed) 21:58:28
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