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妄想散文置き場、時々日記。小説リストは左からどうぞ。(R)は18歳以下は見ちゃ駄目よ☆です。
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Name:毎日がエイプリルフール!
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2024/11/24(Sun) 01:38:34
 最近、古泉の家に行くことが多くなった。理由はひどく明確で、こいつは実は生活破錠者だということが先日の訪問によって知れたからだ。
 部屋が汚いというわけではない。生活臭をとことん消したらこうなるんだろうというような閑寂なリビング、まだ俺の開けたことのない古泉の自室の小綺麗な扉、何かが持ち込まれた形跡の無い台所。ショールームだと言われても納得できるかもしれない、が、それはそれで生活破錠者だ。お決まりのように冷蔵庫はからっぽで、おまえ晩飯とかはどうしてるんだと訊いたら適当に外食ですと答えやがったので、やはり俺はお決まりのように簡単な飯をつくってやったのだ。毎日外食ってリッチっていうよりはどうせ毎回一人なんだろうからちょっと目に染みるものがあるぞ古泉。
 その後もなんとなく気になって晩飯を訊けば悪びれもなく外食だとかぬかし続けるので、買い込んだ食料も勿体ないという理由もあり甲斐甲斐しく古泉宅へ足を運んでいるという日常ができあがってしまった。無駄に料理の腕前が上がっている自分が哀しい。俺はかよいづ……これ以上の明言は避けておこう。
 今日もいつものように古泉宅を訊ね、ふと気になった部屋の隅の埃に「おまえ前回掃除したのいつだ」と訊けば笑顔のまま数秒固まりやがったので掃除大会となってしまった。古泉の自室はなんとなく開けては行けないような気がして(その先における様々な可能性のバリエーションを持ちうる腐海を想像してしまったからだ)掃除は行われなかった。何故か胸をなで下ろした古泉なんて俺は見ていないぞ、見ていない。
 そんなこんなしていればあっと言う間に時間は過ぎて、夕食をつくる暇が無くなってしまった。しょうがないのでいざという時の為に買っておいた袋詰めのラーメンをゆで上げる。ぱっと茹でて粉をかけてしまえば出来上がり、という簡単なラーメンでも、古泉は実に喜んだ。いや、そう喜ばれるといつも夕食をつくっている身としては微妙な心境なんだがな。
 換気の為に開けておいた窓から冷気が潜り込んできて体温を奪っていく。ラーメンから立ち上る湯気が古泉と俺の間にあって、古泉の輪郭はぼやけていた。ずずっとラーメンをすすって、寒さの所為かずずっと鼻をすすった。古泉が。
 その顔との妙なギャップに思わず箸が止まると、俺の視線に気付いたのか古泉が顔を上げた。

 「美味しいですねえ」

 そう言って笑った古泉の顔が、いつもの薄ら寒いスマイルより少し幼く見えたのは鼻がつまっているのか些か明瞭でない発音の所為だろうか。
 なんだか平和過ぎる光景に思えて、

 「そういう顔の方が似合ってるよ、おまえは」

 そう言ってやれば、ポカンとした古泉が首を傾げて、どう頑張ってもいつもの古泉には見えなくて、伸びたラーメンを食べる結末になるとわかっていても、俺はもう笑うしかできなくなってしまった。

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sent from W-ZERO3

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2007/12/06(Thu) 00:41:28
 室内とはいえ廊下は寒い。室内に入ってもその寒さは変わらず、しかし俺はそれに対する文句もひとまず脇に置いていそいそとリビングの中央テレビ前に寄っていく。蜜を求める蜂や蝶なんかはこういう気持ちだったんだろうかね。
 足先を布団の中に突っ込めば柔らかな暖かさが冷え切った足先を包み込む。そう、炬燵だ。電気仕掛けのそれは触れた傍から凍りきった肌を溶かしていく。溶けていく。
 「あなた今すごくエロい顔してましたよ」
 不穏な言葉の後すぐに不穏な暖かい裸の足先が俺の足に触れてくる。間違いのような接触はすぐに離れていったがこれはきっと故意だ。狭い炬燵の中確かに足同士が触れる確率は高いが、態とか否かは案外わかるものだ。
 睨みつけてやれば肩を竦めて笑いやがったので、嗚呼こいつバレてほしかったんだと知る。苛っとしたので冷たくなった足先で暖められた脹ら脛らしきものを思いっ切り摘んでやったら「すみません、悪戯心で」と案外簡単に謝ってきた。俺も別に男の足に触っていたがるような性癖は持ち合わせていなかったのですぐに離れる。足先もお陰で暖まったことだしな。
 ……変態と炬燵で向かい合っているなんて事実は直視したくなかったので、俺は離れた瞬間古泉がちょっと残念そうな顔をしたのを見なかった事にした。
 炬燵の中でぼんやりとする、というのは日本人の特権であり呪いでもあるだろうと思う。ここいらで蜜柑なんて欲しいなあなんて思い始めれば、駄目人間な自分を自覚してしまうのだ。これが人間を駄目にする。
 駄目だ駄目だと思いながら出られないのが炬燵の魔力だ。何やってんだかなあと幸せな気持ちでいると、こつりと足が当たる。「すいません」と慌てて古泉が言ったので態とではない事はわかりきっていたが、何となくこちらからもぶつけてみた。すると顔に似合わず案外こういう細かいところでは負けず嫌いな古泉がまた足をぶつけてくる。当然俺もぶつける。
 そんなこんなでドタバタしていたらまあ当たり前に上に乗っている机も揺れるわけで。まあ机が揺れればその上に乗っていた本やら鉛筆立てやらお茶やらも倒れたりするわけで。
 最終的には二人して溜息を吐くことになるのである。本当に何やってんだかなあ。

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sent from W-ZERO3

2007/12/04(Tue) 06:15:04
 今日はひどい快晴だった。
 せっかくの冬だというのに暖かくなってしまって、俺は厚手の上着を脱ぐか否かで困窮してしまった。暑いならとっとと脱いでしまえば良いじゃないかという声が聞こえてきそうだが、しかし俺が中に着ているのは薄手の長袖Tシャツ一枚だけだ。さすがに暖かい日とはいえこれでは脱いでしまえば寒いばかりだろう。
 どうしたものかと隣を見れば涼しげな顔でコートを手にした古泉が「今日は良い天気ですねえ」なんて良いながら薄ら寒い笑顔で空を仰いでいる。憎々しく思いながら俺はコートの前を開けた。開けた瞬間にひゅうと冷たい風が入り込んできて、少々汗をかいていた体が冷やされ、まるで動物がするかのようにブルリと体を震わせてしまった。
 なんで今日ばかりは早く来てしまったのかと、自然に目が覚めた自分の健康加減を恨んでしまった。しかも朝比奈さんが居るならまだしも早すぎて古泉しか居ないというこの侘びしさである。寒い。
 はあ、と白くもならない溜息を吐けば、不意に隣からの視線に気づかされた。なんだか気付いてしまったことにムカついたので俺は「何だよ」も「俺の顔に何かついてるのか」も言ってやることもなくまた視線を前に戻した。そうすれば古泉が何やらわたわたしている様子が空気で伝わってきて、俺はそれを無視するのにどうも苦労した。視界の端に動きかけて止める手のひらに声をかけずに居られたのは奇跡のようなものだ。
 暫くして古泉の気配が黙ったと思ったら、突如「あ、涼宮さんですか? すみません移動中に」という声が聞こえて、俺は思わず振り返ってしまった。運の悪いことに古泉とばっちり視線があってしまって、なんか全部わかってますよ的なうざったいウインクをかましてきやがったので、とりあえず俺はげんなりしながら違う方向を向くことにした。した瞬間に会話が終わったらしく古泉は俺の腕を引き「さあ、行きましょうか」と笑顔で告げてきやがった。何なんだと問う暇もなくぐいぐいと腕を引かれて引きずられるように移動し始めてしまう。
 「ちょっと待てなんなんだいったい」
 「あれ? 電話の内容、聞いてなかったんですか?」
 「んな悪趣味な事するか」
 「喫茶店に入ってましょう」
 鳩が豆鉄砲をくらったと思ったらチャボにあたったような顔をしただろう俺は二三歩ずるずると引きずられてからその真意にたどり着いた。
 こいつもよくやる、と思いながら引きずられつつ、少し嬉しいような気持ちになったのはきっと古泉と友達っぽいことができた所為かも知れない。なんていう馬鹿馬鹿しい思考を振り払ってついでにっていうかこれがメインなんだがいつまでも絡み付いている古泉の腕も振り払って、俺は競歩で喫茶店に向かうことにした。
 あれだ、寒かったんだよ。いや暑かったんだ。じゃなかったらこの耳の赤さの理由に説明がつかないじゃあないか。



2007/12/04(Tue) 01:44:53

※古泉がレイちゃんでキョンがゲンドウさんな感じのパラレル。古泉が可哀想でキョンが酷人。













 「なんで俺がこんなことしなきゃならんのだ」
 「まあまあ、世界が崩壊しないためと思えば、易いものですよ」
 シューッ、と、刃が紙を切り裂く音が部室に響く。夕焼けを背にしながら僕と彼とで、来週ある涼宮さんのライブのチケットづくりをしていた。A4大の大きさの紙を短冊形に折っていき、カッターマットの上でカッターを滑らせていく。隣の彼が刃を滑らせて、その線が僅かに歪んでいたのが、何故だか妙に愛おしかった。
 (僕は、馬鹿だ)
 おまえが愛せば良いのはたった一人なのだ、と、それに近い事ばかりを叩きこまれた頭は、何故か違う人を選んでしまった。それもまた、やっかいな人だ。愛すべき人が愛した人を、僕は愛した。僕は、馬鹿だ。
 一生伝える事の無い想いを胸に秘めながら日々を過ごすというのはなかなか戦々恐々とするというか、常に神経を張り巡らさなければならないのでとてもたいへんだ。けれど時折こんなふうに与えられる二人きりの時間に、僕はとても幸せになれる。最早、これは愛と呼ぶ他ないのだろう。
 ガタリ、と音がした。見れば前傾になっていた姿勢を後ろに倒して、椅子の背に体重をかけるようなかたちで彼が背伸びをしていた。「倒れてしまいますよ」と声をかけようとしたところで、その喉の白さに思わず動きが止まる。気がそれてしまったのか、手がぶれてカッターの刃が深く僕の手を切りつけた。
 あ、と、思わず声がもれて、その声に反応したのか彼が後ろにそらしていた頭を戻した。手の甲から溢れだした血を見つめている僕の視線を追って、彼の視線が下がる。僕は逆に彼の顔を見上げた。
 「まあこの程度ならすぐに塞がりますよ、痕は残ってしまうかもしれませんが」
 妙に表情の無い彼に、何か嫌な予感めいたものが腹の中をざわりと通り抜けた。気の所為だろうと思うことにして、安心させようと僕は言葉を紡ぐ。
 不意に彼の手が僕の手に伸びた。触れた瞬間、ドクリと鼓動が大きく鳴り、僅かに顔が熱くなる。僕の手を掌に乗せ、検分するかのようにもう片方の手でそっと傷口の淵を撫でた。チリ、と走った痛みに、僕の喉が鳴る。彼の細い、それでも男らしい指に、喉が渇いていくのを感じた。
 「キョ「古泉」
 名前を呼んでしまう、危ういところで彼が僕の名を呼んだ。その色の無い響きにハッとする。何をやろうとしていたんだ僕は。笑顔を取り繕いながら、机の下で掌をきつく握った。
 「古泉、これは駄目だ」
 まっすぐな彼の視線を感じて、僕はハテと首を傾げた。彼の表情がいつになく硬い。硬いとういか、真面目というか。いつものように緩んだ目元はどこかへ消え去り、真面目すぎる瞳が僕を見つめていた。
 「痕が残ってしまうと駄目なんだ、その時点で古泉一樹では無くなってしまう」
 サッと、血の気が引いた気がした。
 「交換だ」
 彼の言葉が終わらないうちに、黒が僕を支配した。


 


 「おはようございます」
 「あら古泉君、おはよう。今日は早いのね」
 「ちょっと調子が良かったもので」
 「昨日はありがとう、助かったわ。まったくキョンの奴、あんなことぐらい一人でやりなさいよね」
 「いえいえ、滞りなく進みましたよ」
 「さすが副団長、そうでなくちゃ! …あ、カッターとかで怪我しなかった? あのマットちょっと古かったみたいだから」
 「いいえ、大丈夫でしたよ」
 「そうねえ……本当、手に怪我は無いみたい。いつもの古泉君の手だわ」
 「そうですね」
 「それにしても、本当に綺麗な手ね。私、古泉君の手、好きよ」
 「ありがとうございます」

2007/10/10(Wed) 22:40:50

 (残酷な人だ。)

 僕の呟いた言葉――上手い事呟けたかどうかは定かでは無い――をどう受取ったのか、それとも受取りさえしなかったのか、彼はぼんやりと空を見上げたまま何の反応も返さなかった。部室は冷たく冷やされていて、二人きりの体温では空気が温まってくれる筈も無い。寒さがじわりじわりと下の方から侵食してきていて、僕は微かに体の芯を震わせた。
 椅子の背にかけた体重を僅かに移動させたのか、ギシリとパイプ椅子が軋んだ。静かな部室にはその小さな音すら大きく響く。僕は彼を見た。彼は僕を見ていない。
 ――僅かながら語弊があったことを侘びよう。僕は彼を見たのではない。彼を見ていたのだ。見続けていた。そして彼は僕を見て居ない。ずっと。
 そのことに僕が気付いたのはほんの十分程前の事で、漸く先程、彼はずうっと前からそのことに気付いていたのだと、気付いた。僕の愚鈍な神経を恨み、そして感謝した。
 嗚呼、冷た過ぎる水が部室を埋め尽くしているようだった。水は、始めは温かく存在していたような気がする。彼の視線が水を冷やしているのだ。その所為で僕は身動き一つできず、言葉一つ発することすらできない。彼は悠々と椅子に腰掛け、水の温度を下げて続けている。
 僕はこのまま凍死してしまうのだろう。彼の冷たさに冷やされ続けて、水の中で水死体にすらなれずに、ただ笑顔を保ち続けながら、姿勢を良くしたまま、体の中心を冷やされて死んでしまうのだろう。
 その硬そうな唇すら奪えないまま。

 溺死ならば人工呼吸でもしてもえるのかもしれないが、僕は愛に溺れる前に凍死してしまう予定なので、死んでもまるで生きているかのようにそこらに放っておかれっぱなしになるのだろう。













is http://kratzer.fem.jp/is/
Refrain「さよなら世界あなたはいつも氷のようで」

2007/10/10(Wed) 21:58:28
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