※D.Gray-man ラビ→アレ→マナ? カップリング未満かも。
その日は偶々夢見が悪かったのだ。二度と見たく無い夢を見た。
ぼんやりと起き上がりラビはがしがしと頭を掻いた。自分で思うにもやたら残酷で且つ滑稽な夢だった。赤い夢だった。
目の前でアレンが首を吊り目を剥き死んでゆく夢だった。
「嫌な夢見たさー」
何せアレンでは笑い事にならない。真実にもなりきれない。
これがユウだったら笑い事なのにな、などと思いながらラビはベッドから起き上がり自室を出た。月明かりだけが頼りの暗がりの廊下をひたひたと歩いていく。暫く歩けば食堂に着いて、そこでラビは、目を覚ました瞬間よりも冷や汗を掻いた。
アレンが食堂に居る、ここまでは、普通の日常で、ラビはその背中に声をかけようとして、アレンの真っ白な頭の向こうに1つの輪を見つけて、足を止めてしまったのだった。
アレンの向こうには十三階段は無かったが、先端に円い輪のつくられた縄がぶらりとぶらさがっていたのだ。
一瞬息を止めてしまってから、ラビは駆け出した。
(間に合え!)
思いながら立ち竦んだアレンの背中に手を伸ばす。あんな夢、もう二度と見たくは無いと思ったのだ。
「アレン!」
その細い体を腕に抱きこんだ時、思わずラビは安堵のため息を吐いてしまった。「ラビ?」と振り返ったアレンの表情はまったくといって良いほどいつもどおりだ。その表情を見てまた安堵のため息を吐きかけて、んん? とラビは首を傾げた。
「どうしたんですか、ラビ。こんな時間に」
「それはこっちのセリフさー。おまえ、何やってんの」
それ、と言いながら輪のぶらぶら揺れている天井から吊り下げられた縄を指差す。アレンは一瞬パチリと瞬いてから、ラビの指先を目線で追って、ああと漸く納得がいったかのように頷いた。
「俺が止めなきゃ死んでたろ」
僅かに怒気を含めたラビの言葉に、アレンはふふふと楽しそうに笑った。何がおかしいのか。音がしそうなほどに眉を寄せてラビはアレンを睨んだが、アレンは動じた様子も無く、またふふふと笑った。
「違います、違うんですよ、ラビ」
いつだって不幸なアレンが、いつになく幸せそうに笑って、ラビは少し後退りしたくなった。けれどその腕には少年を抱いている。
「マナが言ったんです、立ち止まるなって」
そう言って幸せそうに笑ったアレンを突き放そうか罵ろうか迷って、結局ラビは、アレンをただ抱きしめるだけしかできないのだった。
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ディグレ二次創作文は初書き。予想以上にアレンが電波になってしまったどうしよう。
まあ夜中に書いたもんなんで許してやってくだせえ。くだせえ。
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